0

CULTURE 2016.06.27

篠山紀信展「快楽の館」原美術館にて開催

6min

今までの写真展の常識を覆す個展

原美術館で、1960年代から現在まで常に写真界の先頭を走り続けてきた篠山紀信の個展「快楽の館」が開催される。

期間は、2016年9月3日(土)~ 2017年1月9日(月・祝)まで。

美術館での篠山紀信展といえば、「篠山紀信 写真力」展が 2012年以来全国各地の美術館を巡回中だが、本展はまったく異なるコンセプトにより、原美術館だけで開催するユニークな展覧会となっている。

本展のテーマは、1938年完成の邸宅が元になった原美術館を、篠山紀信がカメラによって《快楽の館》に変貌させることにある。出品作品はすべて撮り下ろしの新作で、およそ 30名にものぼるモデルを起用したヌード写真。しかも、1点残らずこの原美術館で撮ったものとなっている。実在の空間と展示された写真の中の空間が交錯し、紡ぎだす恥美で幻惑的な世界を是非ご覧頂きたい。

ここ(=原美術館)で撮った写真を
ここに帰す(=展示する)

原美術館で個展を開催することになったとき、まず篠山紀信が提案したアイデアが「ここ(=原美術館)で撮った写真をここに帰す(=展示する)」ということだった。

一般的に写真展というと、《よそ》=展覧会場とは別の場所で撮った写真を展示するのが通例だが、本展は違う。出品作品はすべて《ここ》=原美術館で撮影され、さらにプリントのいくつかは、まさに《撮影したその場所》の壁面に展示する。したがって、写真の中のイメージ=《かつて・ここに・あった》と、展覧会場にいるという現実=《いま・ここに・ある》が交錯し、幻惑的であると同時に、一種《倒錯》的とさえ言える鑑賞体験になることだろう。

写真家篠山紀信にとって、原美術館という場(もともとは私邸/第 3節を参照のこと)は、《撮る欲望》をかきたて《撮る快楽》に浸れる場としての魅力を持っているということ。そして、上記のアイデアが出発点であるからこそ、本展は《ここだけ》で開催するもので、巡回展示は行われない。

篠山紀信が創る「快楽の館」

撮影は展覧会入れ替えの休館期間を利用して敢行された。作品のない空っぽの展示室、竣工当時(1938)の面影が残る階段、木々が繁り落葉が舞う庭、通常は公開されない屋上、さらには当館特有の常設展示空間(第 3節を参照のこと)など、篠山紀信は館内のあらゆる場所で、佇み・座り・横たわり・跳び・躍るモデルにカメラを向け、シャッターを切り続けた。そして、空間は身体のための背景ではなく、身体と空間が織り上げる、濃密なイメージの世界としての「快楽の館」が生み出されていった。展覧会としては、当館の 5つの展示室それぞれで変化をつけながら、重層的に「快楽の館」の世界を奏でていく。

篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016
篠山紀信「快楽の館」
‍篠山紀信「快楽の館」2016年 ⓒKishin Shinoyama 2016

美術館は作品の死体置き場、
死臭充満する館に日々裸の美女が集う。

美女たちの乱舞、徘徊、錯乱、歓喜、狂乱、耽溺……
あらゆる快楽がこの館でくりひろげられる。

幻蝶が舞う夢と陶酔の館。
この祝祭は初秋の夜にはじまり、歳明け、厳冬の朝に散る。

たった 4ヶ月余の一度だけの狂宴。
お見逃し無く。

2016年 篠山紀信

原美術館とその空間

原美術館の建築 1938年竣工当時の原家邸宅外観
‍《原美術館の建築 1938年竣工当時の原家邸宅外観/撮影者不詳》

原美術館は、もともと個人邸宅として 1938年に建てられたもので、西洋モダニスム建築のデザインを取り入れ、日本近代建築史の観点からも貴重な作例と言える。1930年代の欧風邸宅を美術館に再生した例としては、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)と並ぶもとなっている。

建築デザインとしては、中庭を包みこむように緩やかな円弧を描いた空間構成と、外壁のオフホワイトのタイル張りが特徴的である。同じ 1938年、東京国立博物館の現・本館がオープンしましたが(当時の名称は東京帝室博物館復興本館)、どちらも同じ渡辺仁(1887-1973)が設計した。

1979年の開館以来、原美術館では、この空間と作品との対話を大切にした展示構成を心がけている。かつての居間や寝室は企画ごとに展示を入れ替えるギャラリーに変わった一方、浴室や洗面所などのユーティリティースペースは、アーティストに依頼して建物と一体になったユニークな常設展示作品に生まれ変わっている。本展では、こうした常設展示作品(森村泰昌、宮島達男、奈良美智など)と篠山紀信による、ここでしかできないコラボレーションによる写真作品も展示する。

‍原美術館の建築 1938年竣工当時の原家邸宅外観
‍‍《原美術館の建築 1938年竣工当時の原家邸宅外観/撮影者不詳》

是非、原美術館に足を運んで、篠山紀信が表現する艶美で妖艶な快楽、世界観、空間を体感してみてはいかがだろう。

そして、会期中にはイベントも行う予定ということなので、原美術館のウェブサイト及びブログをチェックしよう。

開催要項

展覧会名
篠山紀信展 快楽の館
欧文表記
Kishin Shinoyama , La Maison de rendez-vous
会期
2016年9月3日(土)~ 2017年1月9日(月・祝)
会場
原美術館
住所
〒140-0001 東京都品川区北品川 4-7-25
TEL/FAX
03-3445-0651(代表)/ 03-3473-0104(代表)
E-mail
[email protected]
ウェブサイト
http://www.haramuseum.or.jp
Twitter
http://twitter.com/haramuseum
開館時間
11:00 am – 5:00 pm(祝日 11月23日をのぞく水曜は 8:00 pm まで/入館は閉館時刻の 30分前まで)
休館日
月曜日(祝日にあたる 9月19日、10月10日、1月9日は開館)9月20日、10月11日、年末年始(12月26日~1月4日)
入館料
一般 1,100円、大高生 700円/原美術館メンバーは無料/20名以上の団体は 1人 100円引
交通案内
JR「品川駅」高輪口より徒歩 15分/タクシー 5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩 3分/京急線「北品川駅」より徒歩 8分
出品内容
写真作品「快楽の館」 カラー/モノクロあわせ 約 60点
図録
本展開催にあわせて図録/写真集「快楽の館」を講談社より発行。展覧会に出品されるイメージだけでなく、貴重なメイキング写真も掲載予定。詳細は決まり次第発表。
関連イベント
会期中イベントを予定。詳細は決まり次第ウェブサイト・ブログ等で発表する。

この記事が気に入ったらシェアしよう!

  • twitter
  • LINEで送る
お気に入りボタン 0 Shares

この記事が気に入ったらいいねしよう!

End Clothing US

RELATED POSTS

関連記事

マーカス・クリンコ写真展 “David Bowie Unseen” 開催
福岡のセレクトショップ NIGHTHAWKS “DUST Capsule Collection” 発売